高雄生まれの孫傳莉さんは台北で育ち、復興美工高校を卒業した後、平面広告デザイナーになりました。広告デザインに長年従事した彼女は多くの人達と同じように、職場、社会、家庭での役割に追われ、熟慮の末、2013年に再び絵筆をとりました。初めの頃の芸術的本能を取り戻すことを願い、「走りながら土地の人を描く」をコンセプトとして、バイクに乗りながらのんびりと旅行しながら、台湾を描くことにしました。こうして人生を逆行する旅がスタートしたのです。
孫さんは次々と創作展を開催したり、招待を受けたりするようになり、2015年には初のグラフィックブックとなる『大嬸的寫生荘遊』を出版しました。書籍、著作物、絵本の挿絵の仕事だけでなく、辺鄙な地に暮らす子供を連れて絵を描き、製品をデザインしています。2019年、孫さんは正式に台東に移り住み、『藝聚人匯』という本を編纂し、台東のアーティストとして挙げられるようになりました。「私はよく一人でバイクに乗り、道端で昼ご飯のおにぎりを食べてから、絵を描き始めるの!」孫さんは台東の自然や路地を巡り、その地の歴史や物語に耳を傾けています。台北という大都市で育った彼女は、絵の具や筆使いを通じて心が感じた衝撃、台東の山や海、田園風景、古色蒼然とした建築物や道、部落の伝統的な風景、人々の生活の様子などを表現しています。また、旅行者が帰ることを忘れ、多くの移住者が腰を据える台東の美しさを描いています。
今年の街に溶け込む探求者では、都市から田舎に移り各地を巡りながら筆をとった孫さんの足跡をたどり、台東特有の人文的な魅力、大自然が与える生命の素晴らしさを感じてみましょう。